Martinギターのカッタウェイ仕様の魅力とラインナップ紹介

こんにちは、クロサワ楽器町田店の小島です。

今回の記事では、マーチンのラインナップの中でも【カッタウェイ】仕様のモデルにフォーカスを当ててみたいと思います。
価格帯やボディサイズ、サウンドなどの観点から、おすすめのカッタウェイ仕様のモデルをピックアップして紹介させていただきます。

カッタウェイとは

そもそもカッタウェイとは何かを簡単に説明させていただきます。

カッタウェイ=cut away(切り取る)から由来しており、文字通りギターのボディをえぐったような形状の部分を指します。


これによりノンカッタウェイのモデルよりもハイポジションでの演奏が行い易くなる為、エレキギターのようなメロディックな演奏や、ソロギター等に向いています。
また、ボディがえぐられる事でスタイリッシュな見た目になる事も特徴です。

一口にカッタウェイと言ってもその形状は様々ですが、いずれも角度を深くつけるので高い木材加工技術が必要となります。

ラインナップ

では具体的に、マーチンのカッタウェイ仕様モデルをピックアップしていきます。

モデルトップ材サイド&バック材スケールナット幅P.U税込価格
000CJR-10Eスプルース単板サペリ単板609.6mm44.5mmFishman
Sonitone
¥105,000
000CJR-10E
StreetMaster
サペリ単板サペリ単板609.6mm44.5mmFishman
Sonitone
¥122,000
OMC-X1EHPL
(ブラック)
HPL
(ブラック)
645.2mm44.5mmFishman MX¥118,000
GPC-X2E-01スプルース単板HPL
(マホガニー柄)
645.2mm44.5mmFishman MX¥122,000
GPC-X2E-02スプルース単板HPL
(ローズウッド柄)
645.2mm44.5mmFishman MX¥122,000
GPC-X2E-03サペリ単板HPL
(マッカーサー
エボニー柄)
645.2mm44.5mmFishman MX¥122,000
DC-X2E-03スプルース単板HPL
(ローズウッド柄)
645.2mm44.5mmFishman MX¥122,000
SC-10Eスプルース単板コア645.2mm44.5mmFishman MX-T¥195,000
GPC-11Eスプルース単板サペリ単板645.2mm44.5mmFishman MX-T¥178,000
GPC-13E
Ziricote
スプルース単板ジリコテ645.2mm44.5mmFishman MX-T¥217,000
GPC-13E Burstスプルース単板ジリコテ645.2mm44.5mmFishman MX-T¥230,000
SC-13Eスプルース単板コア645.2mm44.5mmFishman MX-T¥239,000
GPC-16E
Rosewood
スプルース単板ローズウッド
単板
645.2mm44.5mmFishman Matrix
VT Enhance
¥284,000
GPC-16E
Mahogany
スプルース単板マホガニー単板645.2mm44.5mmFishman Matrix
VT Enhance
¥278,000
モデル名をクリックで項目へジャンプ

000CJR-10E

000CJR-10Eは2019 Summer NAMMにて発表された、ジュニアシリーズの1つです。

ジュニアシリーズの魅力は、

・演奏性、利便性が高い
・コンパクトながらもフルサイズに近い音色
・オール単板ボディとハイスペック

等が挙げられますが、本モデルはジュニアシリーズのカッタウェイ仕様となっています。
(ジュニアシリーズについての詳細はコチラをご参照下さい。)

更に本モデルは、アコギ用のピックアップとして圧倒的なシェアを誇るFishman社製の、Sonitoneピックアップが搭載されています。


コンパクトなサイズと軽量さゆえに持ち運びも楽に行え、ご自宅用のみならずライブ用としても使用しやすいです。
更にカッタウェイならではの演奏性が追加される為に、アコギ弾きの方だけでなくエレキギターがメインの方がワンポイントで使用するのにも良いですね。

000CJR-10E StreetMaster

000CJR-10E StreetMasterは上記の000CJR-10Eの兄弟モデルとして2023 NAMMで登場した新しいモデルです。
000CJR-10Eとの違いは、ボディの全面にサペリ材が使用されている点です。
オールサペリになる事でサウンドも大きく変わり、落ち着きのある音色としゃがれたようなキレが出て来ます。

そして、ルックス面でも大きな違いがございます。

ディストレスト・サテンフィニッシュによって、まるで何年も路上演奏をこなしてきた相棒のような風格を感じられるルックスとなっています。

本モデルの持ち運びのしやすさという特徴に、ピッタリのコンセプトとなっています。

OMC-X1E

OMC-X1EはマーチンXシリーズにカテゴライズされるモデルです。
Xシリーズはマーチンのフルサイズのギターの中でもお手頃価格で、かつマーチンらしい音色も失われていない、コスパ抜群のシリーズです。

本モデルはマーチンギターの中では珍しいブラックカラーのサテンフィニッシュ(艶なし塗装)となっており、スタイリッシュなルックスが魅力です。

ボディは全面にHPLを使用し、ネック材はブラックビーチという木材をブロックでなく薄くスライスした物を貼り合わせて作成した物を使用。
更に指板にはリッチライトと呼ばれる人工素材を使用し、ボディカラーに合わせた濃い黒色と、豊かなサスティーンを実現しています。
いずれの材も温度や湿度の影響を受けにくく丈夫という特徴があります。

ボディシェイプはOMシェイプです。
OMシェイプはボディサイズは小ぶりな000シェイプで、スケール(弦長)がドレッドノートと同じ645mmとなっています。
取り回しの良いボディサイズと、ロングスケールの太く力強いサウンドを両立させた、様々なジャンルをこなせる万能型のボディシェイプです。

ピックアップも搭載されており、スタイリッシュなルックスに頑丈さと万能性からライブ用にオススメです。

GPC-X2E

次に紹介させていただくモデルはGPC-X2Eです。
こちらもXシリーズにカテゴライズされます。

2023年6月現在では下記の3種類がございます。

GPC-X2E-01
GPC-X2E-02
GPC-X2E-03

モデル名末尾の数字が01と02のモデルは、いずれもトップ材にスプルース単板を使用。
01はサイド&バックがマホガニーパターンのHPL、02はローズウッドパターンのHPL材、03はトップにサペリ単板、サイド&バックにはマッカーサーエボニーパターンのHPL材を使用しております。
01と02は明るく華やかな音色で、03はしっとりと落着きのある音色です。

Xシリーズはモデル名のX1とX2で仕様の違いがあり、X1はボディ全面がHPL材で指板とブリッジがリッチライト材を使用し、美しい外観と頑丈さ、お手頃価格が特徴です。
X2はトップ、指板、ブリッジに木材を使用し、よりマーチンらしいクリアでナチュラルなサウンドとなっています。

ボディシェイプはGP(グランドパフォーマンス)です。
GPシェイプはくびれが深く、ボディ上部の横幅やボディの厚みはドレッドノートよりも小さいですが、ボディ下部の横幅はドレッドノートよりも僅かに大きいという独特なサイズ感です。
ボディの厚みを薄くした事やくびれを深くすることで抱え心地と演奏性を向上させつつも、横幅を大きくする事で音の太さを実現した現代的な仕様となっています。

高い演奏性に加え低音もしっかりと出るので、ソロギターにもオススメです。

DC-X2E

DC-X2Eはトップにはスプルース単板、サイド&バックにはローズウッドパターンのHPL材を使用しています。

ボディシェイプは言わずと知れたマーチンの代名詞、ドレッドノートが採用されております。
大きな体積から出力されるサウンドは圧倒的な力強さと奥行があり、音域も広く音楽ジャンルを選びません。

ピックアップには、Fishman MXが搭載されています。

ハイポジションも弾きやすく、カッタウェイが搭載された事による演奏性の高さの恩恵を最も受けているとも言えますね。

SC-10E

一目で分かる圧倒的な個性が光る本モデル。
SCモデルは2020年に初登場し、本モデルは2022年に発売された比較的新しいモデルです。

Sシェイプボディと名付けられたボディシェイプはなんと左右非対称、ボディの厚みも薄めの為に抱えた際のフィット感は抜群です。
ネックのジョイントも13フレット(一般的なギターは14フレットジョイント)と非常に独特。
カッタウェイも他ではあまり見られない深い形状をしています。
加えてネックヒールも大胆にカットされており、ハイポジションの演奏性は圧倒的になっています。

ネックもオリジナリティに溢れており、人間工学に基づいたロープロファイル ベロシティと呼ばれる薄型の形状をしております。
ボディへの取り付けも接着ではなくねじ止め、所謂ボルトオン・セットネックが採用されております。
取り外しが容易の為に調整が行いやすく、またボディの状態に合わせたネック角度を調整出来る優れモノです。
このシステムはSureAlign(R)ネックシステムと呼ばれ、特許も習得しています。

更に、ブレーシングも本モデル特有の仕様となっています。
ブレーシングはボディ内側に施された骨組みの事で、弦の張力に対する補強に加え、サウンドに対しても非常に大きな影響を与えます。
現在では殆どのアコギに採用されているXブレーシングは、元はマーチン社が開発しています。

本モデルのブレーシングもXブレーシングですが、1.2.3弦側はスキャロップド(削り込み)加工が施されており、高音域の音抜けが良くなります。
対して4.5.6弦側は削り込みをしていないノンスキャロップド仕様で、太くどっしりとした低音域となっています。
またXブレーシングは通常はトップ側のみですが、本モデルはバック側にも搭載されており、サウンドホールから見る事が出来ます。

形状による演奏性の高さに加え、音も軽やかに出てきてくれる為に、体感上でも力まずにリラックスして演奏を楽しむ事が出来ます。

特にカントリー等の早いパッセージを多用する音楽や、エレキギター弾きの方にもオススメです。

GPC-11E

トップにはスプルース、サイド&バックにはサペリを使用。
オール単板構造なので、よりナチュラルでクリアな音色をお楽しみいただけます。
また、トップは艶ありのグロストップフィニッシュで、見た目にも高級感があります。

ピックアップは、FISHMAN製のMX-Tという物が搭載されています。
ボリューム&トーンコントロールに加え、チューナーも搭載されており機能性は抜群。
それぞれのコントローラーがボディ内側に取り付けられている点も大きな特徴です。

現在ではチューナー機能も搭載されたエレアコも珍しくはないですが、その殆どがボディの側面に穴をあけてコントローラーを取り付けています。
その分多機能に出来るのですが、生音の響きはどうしても悪くなってしまいます。
マーチンというブランドの一番の特徴は音色にありますので、エレアコモデルであっても極力それを阻害しない様に工夫がなされています。

マーチンの中では比較的お手頃価格ですが、正にワンランク上のモデルという立ち位置。
入門ギターからステップアップをされたい方にもオススメです。

GPC-13E

GPC-13Eはロードシリーズの中で上位のモデルです。
ボディ全面が艶ありのフルグロスフィニッシュやホワイトバインディング等、ルックスもゴージャスな仕上がりとなっています。
現在ではナチュラルカラーとバーストカラーの2種類がございます。

トップにはスプルース単板、サイド&バックには希少材であるジリコテが使用されている事が特徴です。
ジリコテは濃い色合いとうねるような杢目が美しく、密度が高く硬質ながらも加工がしやすい柔軟性も持ち合わせています。

サウンドは非常に重厚感があり、ローズウッドにも似て低音と高音が豊かに響きます。
またサスティーンが特徴的で、粘るようなという表現をよくさせていただきますが、余韻というよりは実音が長く伸びるような印象がございます。

音が伸びる為にメロディを歌わせやすく、また重厚感のある音色が存在感を醸し出している為、ソロギターやアコギ主体の曲にオススメです。

SC-13E

SC-13Eは先に記載させていただいたSC-10Eの上位モデルであり、Sシェイプボディとして最初に登場したモデルです。
若き天才女性フィンガースタイルギタリストであるKOYUKIさんも愛用しています。

基本的なスペックはSC-10Eと同じですが、本モデルはフルグロスフィニッシュで、12フレットのダブルサークルインレイやマッチングのターコイズロゼッタなど高級感のあるルックスとなっています。

このモデルを始めてご覧になった方は「伝統的なブランドのマーチンがこんなスタイルのギターをつくるなんて!」と思われるかもしれませんが、実はマーチンは常に新しい取り組みを行っているメーカーでもあります。
今でこそ当たり前になっているドレッドノートシェイプも誕生した当時では革新的な設計であり、また前述したXブレーシングの開発等、常にアコギ業界をリードして来ました。
本モデルも今までとまったく別物、という訳ではなく、伝統スタイルをベースに現在の技術やニーズを活かした開発をしており、ある意味最もマーチンらしいモデルとも言えます。

存在感のあるシェイプと華やかなルックスは、ライブパフォーマンスにうってつけではないでしょうか。

GPC-16E

最後に紹介させていただくモデルがGPC-16Eです。
マーチンはモデル名の数字が15以上の物はUSA製となり、本モデルも勿論USA製。
今回紹介させていただいたモデルの中で、最もハイグレードのモデルです。

現在では2種類販売されており、トップはスプルースで共通しておりますがサイド&バックはローズウッド材とマホガニー材があり、どちらもオール単板仕様です。
16シリーズはマーチンの中でもエレアコの気質が強く出ており、本モデルに搭載されているピックアップも上位の物です。

Fishman Matrix VT Enhanceというピックアップで、一般的なアンダーサドルピックアップに加え、エンハンストランスデューサーも搭載された所謂デュアルピックアップシステムです。
エンハンストランスデューサーが加わる事でよりナチュラルな箱鳴り感と幅広いサウンドメイク、またボディヒットも拾うのでスラム奏法等のパーカッシブな演奏もこなせます。

勿論生音も素晴らしく、複雑で豊かな響きは圧巻。
正に一生物と呼べるクオリティです。

生音もエレアコとしても妥協せず、1本でなんでもこなせるギターをお探しの方にオススメです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

Martinギターのカッタウェイ仕様のモデルは、ハイポジションも快適に演奏出来るだけでなく、さまざまなシリーズで個性的なサウンドやデザインを楽しめます。
皆様も是非ご試奏いただいて、ご予算やお好み、用途に合ったモデルを見つけて下さいね。

Martinギターに関するご質問やご相談があれば、お気軽にコメントやメッセージを送ってください。

タイトルとURLをコピーしました