アコースティックギターの弦高調整は当店でもよく受けるリペアの1つです。
弦高が高くなる、あるいは低くなる原因は様々あります。
今回は「ネック調整」と「サドル調整」について解説していきます。
またこの記事の内容は当社YouTubeチャンネルでも紹介していますので、よろしければこちらも覧ください。
それでは早速本題。
手順はこちらです。
弦高を測ろう
弦高は12フレット、フレットの頂点から弦の下側までの距離を測ります。
測るための道具ですが、このような「スケール」を使います。
端っこから測れるものが良いです。
こんな便利グッズもあります。
時代や音楽ジャンル、個人の好みによって適正な弦高は変わってきます。
最近は6弦側2.5mm、1弦側2.0mmに調整するお客様が多いです。
一昔前は6弦側で2.8mm程度にすることも多かったです。
テクニカルな演奏をしようとすると弦高は低めのほうが扱いやすく、6弦側で2.0mm、1弦側で1.5mm程度まで落とす方もいらっしゃいます。
しかし、その分ビリつきやすくなりますし、音も変わるので注意が必要です。
ネックのコンディションを確認
ネックの反り具合を確認します。
張ってある弦をそのまま利用した確認の方法です。
- 2フレットと12フレットを押弦します。
1フレットではなく2フレットの理由は1フレットの処理が甘いギターがたまにあるためです。 - 押さえた2箇所のちょうど真ん中あたりのフレットと弦の開き具合を確認します。
- 隙間は殆ど見えないけど、叩くとカチカチと音がなるくらいが目安です。
また、2フレットと12フレットの真ん中では隙間が殆どない状態だけど、2フレットと最終フレットで同じように隙間を見たときに大きく開いている場合は「元起き」が考えられます。
トラスロッドで調整
アジャスタブル・ロッドの調整方法です。
トラスロッドを回す位置はメーカーによって違います。
有名なところだとMartinはサウンドホールの中、GibsonやTaylorはヘッド側に付いています。
基本的には、
時計回り:順反りを直す
反時計回り:逆反りを直す
です。
取扱説明書をよく読んでから回して下さい。
また、Martin等メーカーによっては店舗への持ち込みを推奨しているものもありますのでご注意ください。
サドルを削って調整
サドルを削る量を計算します。
下げたい弦高の長さの倍の長さ分サドルを削ります。
例えは2.8mmの弦高を2.5mmにしたければ、
(2.8-2.5)✕2=0.6
となって、0.6mmサドルを削ることになります。
6弦側と1弦側でそれぞれ何ミリ削るか計算しサドルに罫書きしていきます。
サンダーである程度まで削ります。
サンドペーパーで仕上げていきます。
サドルが傾かないように、曲がってしまった場合は持ち方と力の入れ具合で、最終的に底面がきれいな真っ直ぐになるように目標のラインまで丁寧に削ります。
仕上げは#180くらいの細かいサンドペーパーで整えます。
真っ直ぐなスケールなどで底面が真っ直ぐかどうか確認します。
底面にスケールを当ててみて隙間がなければOKです。
削ったサドルの角はバリが出ていますので、角を軽く落とします。
こうすることで、ちゃんとサドルがブリッジの溝に密着するようになります。
あとはサドルを差し込んで弦を張ったら完了です。
まとめ
いかがだったでしょうか?
工程が多く、経験も必要な調整になりますし、工具も必要です。
サンダーを使わず、全てサンドペーパーで削るのも結構大変です。
クロサワ楽器店にお持ち込みいただければ今回のような調整だけでなく、そのギターにとってどういった調整が一番有効なのかご提案させていただきます。
当店でご購入頂いたものでないギターでも、喜んでお受けしております。
是非、ご相談下さい!