Martin Guitarsのモデル名の解説|型番の見方

こんにちはDr.Soundです。
「Martinのギターいろいろな種類があるけど、なにがどう違うの?」
こんな質問をよくいただきます。
今回はそんな疑問にお答えする内容なのですが、実はモデル名をみてもらうと結構スッキリと理解できます。

ということでモデル名の解説です。

Martinギターの名前は通常、ハイフンで区切られた接頭辞接尾辞から成り立っています。
接頭辞はギターの形状やサイズ、接尾辞はギターの仕様や材料を示しています。

例えばD-28というモデルは、

といった感じです。

接頭辞と接尾辞の種類がいくつかあります。
目次がかなり長いですが…気になるところから読んでみてください。

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接頭辞の意味

前述の通り接頭辞はギターの形状やサイズを示します。

D

14フレットジョイント
12フレットジョイント

Dreadnought(ドレッドノート )のDです。
Dサイズ、またはドレッドノートサイズと呼ばれます。

その名前は第一次世界大戦で活躍したイギリス戦艦”ドレッドノート号”のように迫力のあるサウンドを生み出すモデルとして命名されました。
おそらくアコースティックギターの形で一番みなさんがイメージするのがこのドレッドノートかと思います。

D-28

これより後のサイズはこのドレッドノートを基準に比べていきます。

J

黒線は14フレットジョイントのD(ドレッドノート)サイズ
J-40

Jサイズ、またはジャンボサイズと呼ばれます。
胴厚はドレッドノートと同じ深さです。
クリスマーティン4世の「新時代のドレッドノート」プロジェクトによって 1985年に誕生しました。

このサイズが使われているモデルは非常に少ないですが、J-40というモデルなどがあります。

M

黒線は14フレットジョイントのD(ドレッドノート)サイズ
M-36

Mサイズまたは、0000(クワッドオー)サイズと呼ばれます。
たまにグランドオーディトリアムとも呼びます。
「J」と同じ寸法ですが、深さが浅くなっています。

1970年代後半に登場したサイズ。
このサイズも出ているモデルが非常に少ないです。
その中でもM-36というモデルはビートルズのプロデューサー、ジョージ・マーティンが愛したモデルとしても有名です。

OM

黒線は14フレットジョイントのD(ドレッドノート)サイズ
OM-28

OMサイズ、またはオーケストラ・モデルとよばれます。
ジョン・メイヤーのシグネチャーモデル、OMJMもこのサイズです。

OMはバンジョープレイヤー、ペリーベクテルのアイデアがきっかけで1929年に登場しました。
現在のギターは14フレット目でボディと繋がっている14フレットジョイントが標準ですが、それまではクラシックギター等と同様、12フレット目でボディと繋がっている12フレットジョイントが標準でした。

初めて14フレットジョイントのネックを採用した画期的なモデルとして登場しました。
14フレットジョイントが標準化する流れで生産完了されなくなってしまいましたが、その後、復活し現在でも人気のボディサイズです。

GP

黒線は14フレットジョイントのD(ドレッドノート)サイズ
GPC-16E Mahogany

GPサイズ、またはグランド パフォーマンスサイズと呼ばれます。
ジャンボとOMの間の大きさです。
現行品ではカッタウェイのタイプでGPC(GPサイズ・Cutaway)のモデルが多いです。

SC

黒線は14フレットジョイントのD(ドレッドノート)サイズ
Special Edition SC-12E Burst

SCサイズ、またはSボディ・Sシェイプ・ボディと呼びます。
2020年に発表された比較的新しい形。

左右非対称のデザインが特徴。
また、ネックの着脱が可能なSure Align™ neck system(特許出願中)により、ボディの状態に合わせてギターネックの角度を細かく調整することができることが可能です。

000

赤線:000サイズ14フレットジョイント
黒線:14フレットジョイントのD(ドレッドノート)サイズ
赤線:000サイズ12フレットジョイント
黒線:14フレットジョイントのD(ドレッドノート)サイズ

一般的にはトリプルオーサイズと呼びます。
たまにオーディトリアムとも呼びます。
「OM」と同じボディサイズですが弦長がこちらの方が短いです。

000-28EC

000サイズは1902年に誕生しました。
当時は12フレットジョイントのタイプでしたが、1934年に14フレットジョイントが登場しました。

特に有名なのは000-28。
エリック・クラプトンが000-28ECという000-28のシグネチャーモデルをメインで弾いていることもあり人気のモデルです。

00

赤線:00サイズ14フレットジョイント
黒線:14フレットジョイントのD(ドレッドノート)サイズ
赤線:00サイズ12フレットジョイント
黒線:14フレットジョイントのD(ドレッドノート)サイズ

一般的にはダブルオーサイズと呼びますが、グランドコンサートとも呼びます。
000よりも一回り小さいサイズ。

00-15M

このサイズが初登場したの1870年代前半。
000サイズとボディ厚は同じですが小さくなることで、レスポンスが良く出音にキレの良さが生まれます。

0

赤線:0サイズ14フレットジョイント
黒線:14フレットジョイントのD(ドレッドノート)サイズ
赤線:0サイズ12フレットジョイント
黒線:14フレットジョイントのD(ドレッドノート)サイズ

一般的にはシングルオーサイズと呼びます。
00よりも一回り小さいサイズ。

0-18

ボディの最大幅13 1/2インチ(343mm)とコンパクトなサイズですが、000や00サイズよりもボディ厚が1/8インチ厚くなっています。

D Jr

黒線は14フレットジョイントのD(ドレッドノート)サイズ
DJR-10E Street Master

ドレッドノート ジュニアと呼びます。
ドレッドノートの小型版。約7/8スケール。

取り回しが良く気軽に演奏できるギターとして人気です。

備考

接頭語に「C」が付いている場合は、カッタウェイを示します。
 例:GPCだとグランドパフォーマンスのカッタウェイ仕様

接頭語に「H」が付いている場合は、ヘリンボーン トリムとスキャロップドブレースを示します。
 例:HD-28

HD-28

接尾辞の意味

接尾辞はギターの仕様や材料を示します。

X

HPL(ハイプレッシャー・ラミネート材)をボディに使用しています。
末尾に「2」 が付いているギターはトップ材がスプルース単板です。
「E」が付いているのはピックアップが付いているエレアコ仕様という意味です。
テノンネックジョイント採用。
メキシコ製

 例:「0-X1E」はシングルオーサイズ、トップ・サイド・バックすべてHPL、エレアコ仕様
 例:「GPC-X2E」はグランドパフォーマンスサイズ、カッタウェイ、トップはスプルース単板、サイド・バックはHPL、エレアコ仕様

GPC-X2E Rosewood

10

ボディはオールサテンフィニッシュ(サラサラの仕上げ)。
「E」が付いているのはピックアップが付いているエレアコ仕様という意味です。
テノンネックジョイント採用(SCモデルを除く)。
メキシコ製

 例:「000-10E」はトリプルオーサイズ、トップ・サイド・バックすべてサテンフィニッシュ、エレアコ仕様

000-10E

11

ボディはサイド・バックがサテンフィニッシュでトップはグロスフィニッシュ。
「E」が付いているのはピックアップが付いているエレアコ仕様という意味です。
テノンネックジョイント採用。
メキシコ製

 例:「GPC-11E」はグランドパフォーマンスサイズのカッタウェイ、サイド・バックはサテンフィニッシュ、トップはグロスフィニッシュ、エレアコ仕様

GPC-11E

12

ボディはトップ・サイド・バックすべてグロスフィニッシュ。
ブラックのバインディングが施されています。
「E」が付いているのはピックアップが付いているエレアコ仕様という意味です。
テノンネックジョイント採用。
メキシコ製

 例:「SC-12E」はSCサイズ、トップ・サイド・バックすべてグロスフィニッシュ、ブラックのバインディング、エレアコ仕様。

Special Edition SC-12E Burst

13

ボディはトップ・サイド・バックすべてグロスフィニッシュ。
ホワイトのバインディングが施されています。
「E」が付いているのはピックアップが付いているエレアコ仕様という意味です。
テノンネックジョイント採用(SCモデルを除く)。
メキシコ製

 例:「D-13E」はドレッドノートサイズ、トップ・サイド・バックすべてグロスフィニッシュ、ホワイトのバインディング、エレアコ仕様。

D-13E

15

アメリカ製の「15M」はトップ・サイド・バックにマホガニー単板が使用され、シンプルダブテイルネックジョイントを採用。
メキシコ製の「15」はサペリ単板を使用し、テノンネックジョイントを採用。
「E」が付いているのはピックアップが付いているエレアコ仕様という意味です。
「S」はスロテッドヘッドで 12 フレットジョイントを示します。

 例:「000-15SM」はトリプルオーサイズ、トップ・サイド・バックがマホガニー単板、スロテッドヘッド、12フレットジョイント。

000-15SM

16

トップはシトカスプルース単板。
サイドバックはモデルによるが基本的には単板。
シンプルダブテイルネックジョイント。
アメリカ製

「E」が付いているのはピックアップが付いているエレアコ仕様という意味です。
「S」はスロテッドヘッドで 12 フレットジョイントを示します。

 例:「GPC-16E Mahogany」はグランドパフォーマンスサイズのカッタウェイ、トップがスプルース単板、サイドバック材はマホガニー単板、エレアコ仕様。

GPC-16E Mahogany

17

トップはスプルース単板またはマホガニー単板。
サイドバック材はマホガニー単板。
ローズウッド指板。
シンプルダブテイルネックジョイント。
アメリカ製

 例:「000-17」はトリプルオーサイズ、トップがスプルース単板、サイドバック材はマホガニー単板。

000-17 Whiskey Sunset

18

ボディはすべてグロスフィニッシュ。
トップはスプルース単板。
サイドバック材はマホガニー単板。
べっ甲バインディング、またはブラックのバインディング。
エボニー指板、エボニーブリッジ。
ダブテイルネックジョイント。
アメリカ製

 例:「D-18」はドレッドノート、スプルース単板トップ、マホガニー単板サイドバック。

D-18

21

ボディはすべてグロスフィニッシュ。
トップはスプルース単板。
サイドバック材はローズウッド単板。
べっ甲バインディング、またはブラックのバインディング。
ローズウッド指板、ローズウッドブリッジ。
ダブテイルネックジョイント。
アメリカ製

 例:「D-21」はドレッドノート、スプルース単板トップ、ローズウッド単板サイドバック。

D-21

28

ボディはすべてグロスフィニッシュ。
トップはスプルース単板。
サイドバック材はローズウッド単板。
ホワイト・マルチ・バインディング。
エボニー指板、エボニーブリッジ。
ダブテイルネックジョイント。
アメリカ製

 例:「00-28」はダブルオー(グランドコンサート)サイズ、スプルース単板トップ、ローズウッド単板サイドバック。

00-28

35

ボディはすべてグロスフィニッシュ。
トップはスプルース単板。
サイドバック材はローズウッド単板。
3ピースバック
ホワイト・マルチ・バインディング。
エボニー指板、エボニーブリッジ。
ダブテイルネックジョイント。
アメリカ製

 例:「D-35」はドレッドノート、スプルース単板トップ、ローズウッド単板サイドバック、3ピースバック。

D-35

40

ボディはすべてグロスフィニッシュ。
トップはスプルース単板。
サイドバック材はローズウッド単板。
ホワイト・マルチ・バインディング。
エボニー指板、エボニーブリッジ。
ロゼッタと指板にはパールインレイ。
ダブテイルネックジョイント。
アメリカ製

 例:「J-40」はジャンボサイズ、スプルース単板トップ、ローズウッド単板サイドバック。

J-40

41

ボディはすべてグロスフィニッシュ。
トップはスプルース単板。
サイドバック材はローズウッド単板。
ホワイト・マルチ・バインディング。
エボニー指板、エボニーブリッジ。
トップと指板にはパールインレイ。
ダブテイルネックジョイント。
アメリカ製

 例:「D-41」はドレッドノート、スプルース単板トップ、ローズウッド単板サイドバック。

D-41

42

ボディはすべてグロスフィニッシュ。
トップはスプルース単板。
サイドバック材はローズウッド単板。
ホワイト・マルチ・バインディング。
エボニー指板、エボニーブリッジ。
トップと指板にパールインレイ。
ダブテイルネックジョイント。
アメリカ製

 例:「OM-42」はOMサイズ(オーケストラモデル)、スプルース単板トップ、ローズウッド単板サイドバック。

OM-42

45

ボディはすべてグロスフィニッシュ。
トップはスプルース単板。
サイドバック材はローズウッド単板。
ホワイト・マルチ・バインディング。
エボニー指板、エボニーブリッジ。
トップ・サイド・バック・指板にはパールインレイ。
ダブテイルネックジョイント。
アメリカ製

 例:「D-45」はドレッドノート、スプルース単板トップ、ローズウッド単板サイドバック。

D-45

その他

D-28GEの「GE」等のように数字の後にアルファベットが付くモデルがあります。
下記はその一例です。

  • 「V」:ヴィンテージシリーズ
  • 「S」:スロテッドヘッドで 12 フレットジョイント、稀にスペシャルオーダーやスペシャルフューチャー
  • 「NY」:ニューヨーカーモデル(Sとほぼ一緒)
  • 「GE」:ゴールデンエラシリーズ
  • 「LSH」または「LS」:ラージサウンドホール
  • 「GT」:グロストップ
  • 「N」:ナイロン弦
  • 「T」:テナーギター
  • 「K」:コアサイドバック
  • 「K2」:オールコア(トップ・サイド・バック)
  • 「DB」:ディープボディ

まとめ

実は意外と簡単な組み合わせでモデル名が作られています。
なので、モデル名を聞いただけでだいたいどんなモデルなのか想像することが出来るのです。

今回紹介したものは、あくまで一例となりますがモデルを探す際の参考にしていただければと思います。

気になるモデルや、こんな音の楽器がほしい、こんな形の楽器がほしいなどありましたら、是非お気軽にお問い合わせください。

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