SCシリーズレポート! ~徹底解剖!Martin SC-10E Sapele~

こんにちは。G-CLUB SHIBUYAの矢嶋(やじま)です。

前回のSCシェイプ特集記事はもうすでにお読みになったでしょうか?
マーティンの生み出した近未来のギターを細かく紐解いています濃い内容ですので、まだの方はぜひご覧ください。

さて、今回のテーマは待望の登場を果たしたオール単板のSCシェイプについてです。

前回の記事でご紹介した既に発売されているSCは、CS-SC-2022というUSA製リミテッドモデルを除き、ハワイアンコアやジリコテといったトーンウッドの合板がサイドバックに採用されていました。

そのうちオール単板モデルがカタログ化されたりしないかなあ・・・と淡い期待を抱いていたころ、ついにオール単板モデルが発表されました。

前回の記事でSCというギターが如何に発展しているか熱弁させていただきましたので、
今回はオールサペリのこちらのモデルにのみ焦点を当ててご紹介したいと思います。

Martin SC-10E Sapele

トップ:サペリ単板
サイド・バック:サペリ単板
指板・ブリッジ:リッチライト
ナット幅:約44.5㎜
スケール幅:約645㎜

販売価格:¥178,000(税込)

KUROSAWA MARTIN SHOP INFO.│クロサワ楽器
入荷情報から豆知識まで!クロサワ楽器各店のマーティン情報をお届け!

最大の魅力! -オール単板のサペリボディ-

SC-10E Sapele最大の特徴は何といってもボディ材全てがサペリ単板を使用して製作されているところ。
メキシコファクトリーにて製作されるRoad seriesで度々使用される木材ですので、聞き覚えのある方も多いのではないのでしょうか。
それでは早速、ギター全体から見ていきましょう。

オールマホガニーである15シリーズを彷彿とさせるシンプルな見た目とウッディな雰囲気が抜群の仕上げになっています。

そもそもサペリという木材はマホガニーに近しい性質を持っていることで認知されており、Martin社も積極的に採用している木材です。

では、どのくらい似ているのか15シリーズと見比べてみましょう。

Martin D-15M

如何でしょう?時折、兄弟くらいの近さと言えるくらいに木材同士が似ていると言われたりしますが、それも頷けるほどに類似していると思います。
もちろんルックスだけではなく木材自体の重さ等も近い性質を持っており、目に見えないところも含めて代替材として楽器業界でよく使われています。
(気乾比重のお話はまた別の機会に・・・)

サペリには濃淡のはっきりとしたリボン杢と呼ばれる美しいルックスが度々見られたりします。

ちょうど今回の個体にも少し出ていますね。拡大して見てみましょう。

濃淡がはっきりと出ていて非常に美しいですね。
ストライプ状の杢目がギラギラと輝いていて、SCが醸し出す雰囲気をより一層持ち上げてくれている気がします。

SCは見れば見るほどその魅力に気づかされるのですが、今回はまた一味違った魅力のあるモデルなので、時間を忘れて思わず見入ってしまいますね。

装飾を省いたシンプルな外観

先述したように、今回のモデルは15シリーズに似た外観で仕上げられています。

ピックガードやバインディングを取り除いてロゼッタもシンプルな物を採用しており、「大人」な雰囲気を醸し出しています。

これまでのSCはトップ材のスプルースが生み出す杢目のきめ細かさやハワイアンコアのギラギラとした煌びやかさ溢れる杢目などで輝かしいルックスが特徴でした。

今回のモデルは一言で表すと「シンプルこそ至高」という言葉がぴったりではないでしょうか。
まるで杢目が装飾と言わんばかりのルックスが非常にそそられます。
今回のモデルは指板・ブリッジともにリッチライトが採用されており、個性的な杢目が目立つストライプドエボニーとはまた一味違った雰囲気を出しています。
このシンプルな見た目であれば、人工材であるリッチライトの方が雰囲気を抜群にしてくれているので個人的には大正解なチョイスだと感じました。

あと1つ気になったのは今回のSCよりヘッドプレートに「1833」の文字が施されるようになっていました。
これまでのSCはMartinのロゴのみ貼られており、新時代のアコースティックギターであるとルックスで示していましたが、オールサペリモデルに関しては見慣れたヘッドになっています。



Road seriesで展開されているD-10E/000-10Eのようなローズウッド柄のHPL(ハイプレッシャー・ラミネート)の化粧板が貼られています。
Martin社もSCの認知度が高くなってきたことを感じ取り始めたのでしょうか。そんな気がします・・・。

現状ラインナップとの共通点は?

初めてのオール単板SCということもあり、様々な箇所が初の試みを施されていることがお分かりいただけたと思います。

では反対に、現状のSCと共通している部分はどこが該当するのでしょうか?
見てみると、大胆に削られたネックヒール・特殊なブレーシング・着脱可能ネックの3つが挙げられます。
それでは、各所をおさらいも含めてみていきましょう。

着脱可能な画期的構造 –SureAlign system–

SureAlign systemと名付けられたネック構造はエレキギターを彷彿とさせるボルトオン構造のネックになっています。前回同様、実際に分解して見てみましょう。

やはりこの状態になると見慣れませんね・・・。
ちなみにジョイント部にある2本のボルトを専用工具で外すことで着脱が可能になります。
個人的な感覚ですが、元の状態に戻す際に少しだけコツがいるので少し注意が必要です。
※調整の際は必ず専用の工具を使用、もしくは専門のリペアマンまでお申し付けください。

それでは、拡大して見てみましょう。

現状のSC同様に樹脂製カートリッジ式のシムがあることが分かります。
シムの交換は抜き差しだけで行えるので非常に簡単です。

専用シムは別売りのSCリペアツールキッドに付属しており、厚みがそれぞれ8種類に分けられています。



必ず用意しなければならない、とまではいきませんがあったら物凄く便利なアイテムの1つです。SCユーザーの方には是非一度ご覧いただきたいです。

備えあれば患いなしというわけではありませんが、熱烈なSCユーザーの方には是非手に取っていただきたいアイテムの1つです。

大胆に削り取られたネックヒール

続いて、ネックヒールを拡大して見てみましょう。

いつもの大胆なカットが施されています。

見た目だけ見るとはじめは戸惑いを覚えるかもしれませんが、まずは是非手に取ってみてください。
ハイポジションに移動した際、手のひらがこのポケット部に吸い付くように設計されており、驚異的な演奏性の高さを生み出していることがお分かりいただけると思います。

演奏性の高いMartinをお探しの方はもちろん、普段エレキギターを主に演奏される方は特にお試しいただきたいです。
個人的には現行品のMartinギターの中で1番ハイポジションが弾きやすいモデルであると思っています。

ちなみに、ネックとボディを接合している2本のボルトはボディ裏側にあります。



ハイポジションに移動するとヒール部のボルトと手のひらが干渉するのではないか、と不安になる方もいらっしゃると思いますがご安心ください。
しっかりとなだらかに仕上げがされているので、ストレスを感じることなく快適に演奏することが出来ます。

Martinの大改革 -Tone Tension X Brace-

続いて、ブレーシングを見ていきましょう。



SCならではのブレーシングがこのモデルにもしっかりと施されています。

通常、Martinにはトップ材裏のみにXブレーシングが施されますが、SCシェイプに限りバック材にもXブレーシングが貼られています。
XブレーシングはMartinが開発した画期的な大発明という周知の事実ですが、SCシェイプはさらに昇華されています。

具体的に説明すると、バックブレーシングの一部にスキャロップ加工を施しているのですが、少し特殊な削り方をしています。
1~3弦にあたる箇所にはスキャロップ加工を施し、4~6弦にあたる箇所には敢えて手を加えないという方法を取っており、加工された高音弦側はトップ材の振動が豊かになり良く響き、加工無しの低音弦側は引きしまった低音感が生まれています。

はじめは見慣れない設計なので戸惑うかもしれませんが、実際に弾くとこの設計が如何にサウンドに恩恵を与えているのかお分かりいただけると思います。

では、オールサペリのサウンドはどのようなものでしょうか。実際に聴いてみましょう。

単板仕様のSCはこんな音がします!

通常のSCサウンドはタイトな低音が土台に存在しており、煌びやかな高音域が特徴のギターです。

今回のモデルはサペリが使用されているので、煌びやかさはスパイス程度に控えめな物となっており、
ウッディな響きが最高に心地良いサウンドに仕上げられている印象です。

演奏性の高いスペックということもありますが、個人的にはフィンガーピッキングでしっとりと弾きたくなるサウンドのように感じました。
ピックで弾いてもザクザクとした響きがたまらなくかっこいい印象です。

また、SCにはピエゾタイプのピックアップが標準搭載されており、今回のモデルも例外ではありません。
高水準の完成度を持つ優秀なエレアコをお探しの方にも是非手に取っていただきたいおすすめモデルです。

Fishman MX-Tピックアップ標準搭載!

今回のモデルにもFishman製の優秀なピエゾピックアップが搭載されています。その名もFishman MX-T
サウンドの特徴は良い意味で雑味や味付けが施されておらず、ナチュラルかつクリアなサウンドを出せる点が特徴です。



コントロール部はボリュームとトーンの2つでまとめられており、サウンドホールの内側に搭載されています。
ステージ上でギターの外観を損なうことなく大きい音を出すことができるので、こういった細かい配慮は意外と重宝したりしますね。

このシステムの優秀なところは、視認性の高いチューナーも合わせて使うことができます!

コントロール部と同様に内側に搭載されたチューナーは使用時に音をミュートすることが出来るのでチューニングはもちろん、ミュートスイッチ替わりにも使うことができちゃいます。

オールラウンダーかつ「この1本があれば良い」と呼べるギターをお探しの方、是非SCを手にしてみてはいかがでしょうか?

エレアコのサウンドをより良くしたいなら是非D.Iも!

エレアコをお探しの方の中にはライブを前提として探されている方も多いと思います。

ライブで使うなら超必須であるアイテムなので、基本的にはどのライブハウスにも置いてあると思います。
でも、より良いサウンドでのライブにこだわりたい・・・という方は1度足元に置く機材も試していただくのがおすすめです。

そんなユーザーの方に是非おすすめしたいのがこちらのFishman Tone DEQ


こちらは正確に言うとD.I機能を搭載したエフェクトペダルという意味合いが近いのですが、使えば使うほど高性能であることがお分かりいただけると思います。

D.I out・3バンドのイコライザーはもちろん、ディレイ/リバーブ・コーラス/フランジャー/トレモロのエフェクトも内蔵。デジタルエフェクトに関してはパラレルでミックスされる為、音質が損なわれてしまう心配もないという優れものです。

また、サウンドをあともう1歩前に出したい・・・!というときに何かと便利なブースト機能も搭載。
コンプレッサーや位相反転機能まで搭載されているオールインワンシステム。

SCにはMartin公式のギグバッグが付属するので、ポケットにこの1台を忍ばせておけばどの会場でもその環境に合わせた細かいサウンドメイクをすることが出来ると思います。

一見、ツマミがたくさんあって難しそう・・・と感じる方も多いとは思いますが、どのセクションも直感的にいじって調整することが出来るのでご安心ください。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回の徹底解剖でSCが如何に発展しているアコースティックギターなのかお分かりいただけたと思います。
これほど素晴らしいクオリティのモデルが発表されるたびにMartinの挑戦と進化はまだまだ止まる気配がないと考えさせられます。
(このままの勢いでUSA製のSCもカタログ化してほしいと願うばかりです・・・。)



今回の記事で撮影も行っている記念すべき渋谷店1号機は店頭・オンラインショップで販売中!
また、各種SCギターもあるので、弾き比べをすることも今なら可能です!

是非、当店でSC-10E Sapeleの魅力をお試しください!

Martin SC-10E Sapele

トップ:サペリ単板
サイド・バック:サペリ単板
指板・ブリッジ:リッチライト
ナット幅:約44.5㎜
スケール幅:約645㎜

販売価格:¥178,000(税込)

タイトルとURLをコピーしました