パーツ1つで広がる音の可能性:国内初入荷パラフィン漬けサドル

こんにちは。G-CLUB SHIBUYAの矢嶋(やじま)です。
今回のテーマは少し深く掘り下げて、ギター本体ではなくパーツのお話をさせていただきます。

本日ご紹介するのは、国内で初めての取り扱いとなる「パラフィン漬けサドル」
サドルといえば、「弦の振動をボディ材に伝えるパーツ」・「弦高を下げたい時に削って調整する部分」というイメージが一般的ではありますが、よく考えてみると6本の弦が直接乗る部分なので、実はサウンドに対して大きな影響を与える要因だったりします。

一見地味なパーツに思えるサドルをとある手法を使用し、サウンドまで劇的に変えることに成功したのが今回の「パラフィン漬けサドル」。
今はまだ世間に知られていませんが、今後業界でスタンダードなものの1つとして使用されていくであろう画期的な素材です。

パラフィン漬けサドルって何?

アコースティックギターのサドル材は一般的に牛骨が使用されているのをご存じの方が多いと思います。その牛骨材をパラフィンワックスと呼ばれる蝋を使用し、芯まで漬け込んだものをパラフィン漬けサドルと言います。

そもそも牛骨という素材には目には見えないレベルの隙間が中にたくさんあり、その隙間は常に細かい物質で満たされています。
アコースティックギターのサドルで使う為にはまず漂白を行い、隙間を綺麗に掃除してあげる作業が必要になります。(MartinのStandardシリーズは漂白済み牛骨サドルが使われています)

綺麗にゴミを取り除いた漂白後は中身がスカスカになっている状態。この空洞を蝋で満たしてあげたのがパラフィン漬けサドルです。

パラフィン漬けサドルのメリットの1つとして従来のものよりも弦振動がより伝わるという点が挙げられます
漂白後サドルは言ってしまえば段ボールのようなイメージです。表面は平らでも中身は隙間だらけで衝撃を吸収してしまいます。対してパラフィン漬けサドルは鉄板のようなイメージです。芯まで固く、叩いてみると素材全体に振動が伝わります。

「中身に空洞がある物」と「芯までぎっしりと詰まった物」、どちらがより振動を伝えるか何となくイメージは湧いたでしょうか?

パラフィン漬けサドルってどうやって作るの?

そんなパラフィン漬けサドルですが、先述したように空洞の空気を抜いた後に蝋を詰め込める必要があります。
そこで行うのが含浸と呼ばれる技術。本来、エレキギターのハウリング対策の1つとしてピックアップを蝋付けするという技法なのですが、今回のサドルにも同じ製造方法が使われています。

牛骨材を溶かしたパラフィンワックスの中に漬け込み、真空チャンバーの中で6時間真空状態で含浸を行います。ここで重要になってくるのが牛骨材を完全な真空状態にするということ。真空にすることで中の空気と蝋が入れ替わることにより、パラフィン漬けサドルは形成されます。

それでは実際に形成前の角材を見比べてみましょう。左から順に漂白済み牛骨、オイル漬け、パラフィン漬けと並べた写真です。

パラフィン漬け角材(写真右)を見るとお分かりいただけると思いますが、一般的によく使われるオイル漬け角材(写真中央)よりと比べても、素材全体に染み込んでいることが分かります。先述した隙間を埋める作業がしっかりとされている何よりの証拠です。
※パラフィン漬けの浸透度には個体差があります。

交換するだけで音は変わる?デメリットはあるの?

では、パラフィン漬けサドルがサウンドにもたらす恩恵はどのようなものなのでしょうか。
結論から言うと、パーツ1つでこんなにも影響があるのかと驚くほどにもの凄く変わります

まずはじめに、一般的に使用される漂白済み・オイル漬けサドルから比較していきましょう。皆様ご存じの通り、上記2つの素材は底抜けに明るいサウンドが特徴です。実際に弾くと各弦それぞれが明るく軽やかに響いてくれるイメージです。

これらに対してパラフィン漬けサドルはサウンド全体がより重厚かつ艶やかになるという特徴があります。
例えば、MartinのD-28はサウンドが分厚く煌びやかなサウンドが特徴です。このサウンドに対してパラフィン漬けサドルを使用すると、サウンドがまるで地鳴りのような重厚さに変わり、高音域も妖艶さを纏っているような艶やかさが発生し、唯一無二のキャラクターに変わります。
サドルの内部が限りなく蝋で満たされることにより、弦振動を余すことなくトップ板に伝えることが出来ているからこそ、この鳴りが生まれているのです。
ローズウッド特有の美しい残響感をより際立たせたい方には是非おすすめしたい素材です。

また、パラフィン漬けサドルは耐摩耗性にも大変優れており、巻き弦の伸縮によるサドル本体へのダメージが限りなく軽減されています。
実際に形成後のサドルを触ってみると、弦の乗る面に艶が出ており、触った感触も非常に滑らかであることが分かります。

交換するだけで良いことだらけのパラフィン漬けサドルですが、反対にデメリットはあるのでしょうか。
敢えて挙げるとすれば、サウンドが大胆に変わってしまうので好みが分かれてしまう点です。
先述したように、重厚かつ艶やかなキャラクターになるので、マホガニーのような立ち上がりが速く、すっきりとした残響感がお好みの方は漂白済み・オイル漬けサドルをお使いいただくのがおすすめです。

Martin D-28に使ったらこんなにも変わります!

それでは、実際にパラフィン漬けサドルのサウンドを聴いてみましょう。
今回はMartin D-28を使用し、オリジナルの漂白済みサドルとパラフィン漬けサドルでの比較をしてみました。

コードを鳴らした時の重厚感、各弦の輪郭の鮮明度が明らかに違うことがお分かりいただけると思います。
今回使用したG-CLUB SHIBUYAモディファイ品のD-28は店頭にて展示中ですので、ご来店いただいた際は是非お試しください。鳴らした瞬間、違いに驚いていただけるはずです。

・撮影環境
使用機材:Martin D-28
弦:Martin弦 MA540 (ライトゲージ)
マイク:Line6 SONG PORT VX

交換方法は?どこで手に入るの?

パラフィン漬けサドルへの交換はオフセットサドルを作製する時と同様に、角材を形成して個体に合わせた形状に整えていきます。この素材だけの特別な工程も無いので、容易に交換することが可能です。

今現在、可能な入手方法は下記の通りです。

今回特別に6/1~6/30の間、新品Martin Standardシリーズをご購入いただいた先着5名様限定で、パラフィン漬けサドルプレゼントキャンペーンを実施中です。
製品化前の素材につき、今回ご案内可能できるのは5名様のみではありますが、何とか確保することが出来ました・・・。

店頭・オンラインショップからお求めいただけます。もちろん、ご希望の弦高に合わせて別途作成し、お届けします!ご購入時にご希望をお申し付けください。

今回ご紹介したパラフィン漬けサドルは国内初入荷であり、全国の楽器店でもG-CLUB SHIBUYAのみの取り扱いとなります。
気になった方は是非当店までお問い合わせください。

※G-CLUB SHIBUYA限定キャンペーンとなります。他店舗でのご案内はで出来かねますことを予めご了承くださいませ。

今回のまとめ

いかがでしたでしょうか?

パーツを1つ変えるだけでサウンドの方向性をまるっきり変えられることがお分かりいただけたと思います。
今後の業界の中で間違いなく、スタンダードな素材の1つとして認知されていくことでしょう。

今回のキャンペーンは先着5名様のみのご案内ですが、数多くのオーナー様のお手元に届けられるように既に当店で色々準備中です。(噂によるとパラフィン漬けナットもあるとかないとか・・・)
当店Martinフロアスタッフが自信を持っておすすめできる次世代の新素材。国内初入荷素材を渋谷から発信します。

手に取って体感したい!という方は是非G-CLUB SHIBUYAまでお越しください。渋谷店独自カスタムのD-28でお試しいただけます。
業界初新素材による素晴らしいサウンドを是非体感してみてください!

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