~2025 Martin Factory Tour~

クロサワ楽器 池袋店アコースティック館の曽根です。

この度、2025年10月に開催された “マーティン・ファクトリー・ツアー” に参加いたしました。
日本全国からマーティンギター・ディーラーが集う特別な機会で、普段はなかなか目にすることのできないマーティン工場の内部を間近で見学し、製造工程の数々を拝見することができました。

また、工場ならではのプリビルド品の中から、選りすぐりの個体を選定してまいりました。

マーティン・ファクトリーツアーとは?

マーティンギター日本総代理店であるクロサワ楽器をはじめ、国内各地のマーティン・ディーラーのスタッフが一堂に会し、アメリカ・ペンシルベニア州ナザレスのマーティン工場を訪れる特別なツアーです。

~工場視察~

・まず工場に入ると、真っ先に目に飛び込んでくるのは、”大きなギターのオブジェ”

アッセンブリーギャラリー

CNCルーターによる切削加工は、非常に高い精度と再現性を誇り、複雑な形状の加工も効率的に行うことができ、ギターの装飾であるインレイ、バインディング、パーフリングといった細かい部分は、職人がひとつひとつ手作業で丁寧に取り付けています。

・ブレイス接着後の乾燥と成形、サイドの組み立て作業、そしてボディとネックを接合する工程前の様子です。

・ネックをボディに接合する前や塗装、ペグ穴加工の前の段階では、ネックのジョイント部分にモデルごとの区分けがされています。
000、D、カスタムなど、使用されるモデルに応じて分類され、中にはモデル名が直接記載されているものもあります。

さらに、ネックプロファイルゲージで形状を確認したネックや塗装、ペグを取り付けた後のネックの姿は、皆様もよくご存じの通りです。

・側板を熱と蒸気でギターのカーブに合わせて曲げ、型にセットしたうえでブロックやライニング材を接着・固定します。
さらに、クランプや治具で圧力をかけて接着剤を乾燥させます。
こうした工程を経て形作られる側面こそ、私たちが普段目にしているおなじみのボディラインとなります。

・ギターの装飾に欠かせないアバロン(鮑貝)を加工したシート。
ピックガードと指板に施される、様々なカスタムデザインの装飾パーツ等、高度で緻密な装飾作業が行われていました。

・職人が手作業でネックを削る丁寧な工程やバインディングをボディに取り付けてマスキングテープで固定する細やかな作業が行われています。
一方で、ボディを吸盤で固定してバフ掛けを行う“産業用ロボットアーム”、池袋店でも導入しているコンピューター制御の高精度測定・調整マシン”PLEK”など、最新技術も活用されています。

・最終チェックを終えた完成品は、ケースとダンボールに収められ出荷されます。

・工房内にはリペアブースも設けられており、お客様が購入されたギターの調整や修理も直接行われていました。
また、当社リペアマンもファクトリーツアーに同行し、現地でリペアの技術を学び、皆様の大切なマーティンギターのリペアに活かしております。

~プリビルド・カスタム品 現地選定~

そして、プリビルド・カスタム品の現地選定です。
当社を含むマーティン・ギターディーラー各社が、サイコロを振るドラフト形式で希望品の選定を行いました。
ここでは、その様子の一部と当社が選定したモデルをご紹介します。

~CTM 00-18 Pemium Grade German White Oak~

サイドバックとヘッドプレートには、プレミアムグレードのジャーマン・ホワイトオークが使用されています。
特にサイドバックのジャーマン・ホワイトオークは、あまりにも個性的で美しい杢目をしていたため、即座に選定品として選びました。
音色は、クリアで伸びがあり、ダイナミクスレンジも広く、とても素晴らしいサウンドの個体です。

~CTM 000-41 Adirondack×Wild Grain East Indian Rosewood~

トップ材には、プレミアムグレードのアディロンダック・スプルースが使用され、VTS加工が施されています。
そして、バックのプレミアムグレードのワイルド・グレイン・イースト・インディアン・ローズウッドは、あまりに魅惑的な杢目で妖艶な雰囲気を醸し出しており、フレイムド・コアバインディングと組み合わさることで、さらに高級感のある美しい外観に仕上がっています。
音色は、透明感がありながら太く、サスティンにも優れた極上のサウンドを奏でます。

~CTM 00-18 Tweedy Burst~

アメリカのロックバンド Wilco(ウィルコ) のフロントマン、ジェフ・トゥイーディーのシグネチャー・モデルにインスパイアされたカスタム。
ジェフ・トゥイーディーのシグネチャー・モデルはメキシコ製ですが、当カスタムはもちろんアメリカ製。
トップのマホガニーの杢目とトゥイーディー・バーストカラーが絶妙に絡み合っています。
音色は、優しく心地よく、滑らかに響くため、家にあれば自然と奏でたくなる、非常に魅力的で依存性の高いサウンドです。

~CTM 0-18 Pemium Grade Sitka×Flamed Mahogany~

トップには霜降りが美しいプレミアムグレードのシトカ・スプルース、バックには目の詰まったプレミアムグレードのフレイムド・マホガニーを贅沢に使用したカスタム。
ピックガードなしのストレートブリッジにより、シンプルながらも高級感のある佇まいを持ち、品格を漂わせます。
音色は、引き締まった上質な低音域、抜けの良い中音域、心地よい高音域がバランス良く響きます。
シングルオー・サイズの特長が前面に出ており音の一体感に優れ、つい弾き続けたくなる魅力的なサウンドです。

Martin CTM 0-18 Pemium Grade Sitka × Flamed Mahogany #2902570 【フレイム・マホガニー】【試奏動画あり】
Martin CTM 0-18 Pemium Grade Sitka × Flamed Mahogany #2902570の商品詳細ページです。

~CTM 000-18 12Fret Pemium Grade Flamed Mahogany~

プレミアムグレードのフレイムド・マホガニーを贅沢に使用したオールマホガニーボディのカスタム。
12フレットジョイント、スローテッドヘッド仕様のクラシカルなデザインで、落ち着いた佇まいと上質なサウンドを兼ね備えています。
音色は、12フレットジョイントならではのステレオ感のある奥深い音色で、厚みのある低音域、明瞭で力強い中音域、角の取れたまろやかな高音域が美しく調和し、弾くたびに心地よく鳴るサウンドが魅力です。

Martin CTM 000-18 12Fret – Premium Flamed Mahogany "Factory Tour Select 2025" #2993496
Martin CTM 000-18 12Fret – Premium Flamed Mahogany "Factory Tour Select 2025" #2993496の商品詳細ページです。

~CTM D-18 Black Walnut、CTM 000-18 Black Walnut~

こちらの2モデルは、ボディサイズ違いのモデルであり、現地で急遽サプライズとして用意された、現地限定受注のカスタム。
スプルースの明るさと抜けの良さ、ブラックウォルナットの硬質で明瞭な音色が合わさることで、全音域のバランスが良く、粒立ちがはっきりしたクリーンなサウンド。
コードの分離が良く、リフやソロ、フィンガーピッキングなど表現力を求める演奏にも適しています。
ローズウッドやマホガニーとは異なる音色を求める方におすすめです。

Martin CTM D-18 #2961408 【Spruce x Black Walnut】【Martin工場選定モデル】【買取・下取強化中】
Martin CTM D-18 #2961408の商品詳細ページです。

~マーティン・ミュージアム~

マーティン・ミュージアムは、創業190年以上の歴史を誇るマーティン社の歩みやギター製作の技術を紹介する博物館です。
創業者C.F.マーティンの工房や古典的なギター、ヴィンテージやカスタムモデルなどの貴重なギターを間近で見ることができます。
また、製作工程や使用される木材・パーツの展示を通じて、楽器製作や音響について学ぶこともでき、マーティンギターファンやディーラーにとって、マーティンギターの歴史と文化を理解する大切な場所であり、夢と情熱の詰まった憧れの博物館です。

・ハンク・ウィリアムズが使用した“1947年製 D-18”只者ではないオーラを放っていました。

・カート・コバーンが使用した “1953年製 D-18”
こちらは、D-18 Street Legend(生産完了モデル)の原型となった個体でもあります。

貴重なヴィンテージギターから特別なカスタムモデルまで、見どころが盛りだくさんでした。
マーティンギターファンなら、ぜひ訪れていただきたい“マーティン・ミュージアム”です。

以下に、今回撮影した多数の画像を掲載しております。
夢と情熱、そして歴史の詰まった憧れの楽器の数々をどうぞご覧ください。

~まとめ~

創業190年以上の歴史を誇るマーティン社のギター造りを実際の現場で体感でき、木材の選定から組み込み、塗装、最終セットアップに至るまで、熟練の職人たちによる一つひとつの工程を間近で見学できたことに加え、併設されたマーティン・ミュージアムでは、創業者C.F.マーティンの工房再現や数々のヴィンテージ・名器・希少カスタムモデルを鑑賞でき、ブランドの歴史や文化を知ることができる、驚きと感動の連続の非常に貴重な体験となりました。

マーティンの“本質”に触れられる貴重な機会であり、まさに夢と情熱が詰まった特別なツアーでした

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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