ギターは色々な種類の木材を使って作られています。
ここでは、この木材を使うとこんな音になる傾向があるよっていうことを「池袋店アコギ担当の超独断」でご説明します。

あくまで我々の主観で説明してるので何かのカタログとかに載っている内容と 違いがあるかもしれませんが、生の声ということで。



・シトカスプルース
アコースティックギターのトップ材として最もポピュラーな木材。スペック表を見て、「スプルース」とだけ書いてある場合はほぼシトカスプルースのこと。輪郭のハッキリとした張りのあるサウンドがバランス良く出力される印象。音も大きく、良い意味でプレーンなサウンド。経年変化で色が焼けていくのがハッキリとわかる材。

・アディロンダックスプルース
戦前のアコースティックギターのトップ材として多く使用されていた木材。現在では希少材のため、高級ギターに使われることが多い。 ダイナミックでパワフルなサウンドが魅力。低音から高音までレンジが広く、奥行き感のある音色が出力される印象。焼け色は金色っぽいあめ色。

・イタリアンアルパインスプルース
Martinギターのカスタムに多く使われる木材。しなやかな振動特性を持ち、強く弾いても音が潰れず、弱く弾いても芯のあるサウンドが出力される印象。ダイナミックさよりも上質感を求める時に選ばれることが多い木材。焼け色は透明感あるあめ色。

・マホガニー
サイド&バックに使われる定番の木材だが、その味のあるルックスとサウンドでトップ板に使われることも。音量的にはスプルーストップのものに一歩ゆずるが、暖かみのあるウッディなサウンドが魅力的。豪華ではないがホっとする音色が出力される。傷が付きにくい。近年、希少性が上がっており中価格帯のギターまでは「サペリ」という木目、音質共に似た性質を持つ木材で代用されることも多い。

・コア
サイド・バックで使われることが多い木材だが、トップ材に採用しているモデルもある。正式なものはハワイでしか採れないため、今やとても貴重な木材。カラっとした明るいサウンドが特徴で、中高域がキラキラした印象になる。音量的にはスプルーストップのものの方が大きい。マホガニーより豪華な感じのウッディさとキラキラ感を持った音色。高級なものは「トラ杢」といってしましまの様な木目を持つ。



・マホガニー
アコギのサイド&バック材としてローズウッドと並び代表的な木材。Martinの18シリーズやGibsonのアコギで良く使われる。ローズウッドと比較すると音の広がりと伸びは短めだが、中音域が良く出力されるウッディなサウンドは、一味違った魅力を持っている。豪華でジャラ~ンとした音よりはホっとするような音が好きな方にオススメな材。近年、希少性が上がっており中価格帯のギターまでは「サペリ」という木目、音質共に似た性質を持つ木材で代用されることも多い。

・インディアンローズウッド
アコギのサイド&バック材としてマホガニーと並び代表的な木材。色々な産地のものが使用されているが、スペック表に「ローズウッド」とだけ表記されているものはほぼインディアンローズウッド。低音から高音まで幅広いレンジを持つオールマイティな木材。音の伸びも長い。輪郭のハッキリとした堅めの音色で、サスティンが多く出力される印象。 2017年からついにサイテス(ワシントン条約)の対象に。ハカランダよりは一段階緩い基準だが、今後価格の高騰と入手難が予想される。

・ハカランダ(ブラジリアンローズウッド)
サイド・バックの木材として最も高級な木材。ワシントン条約により、ハカランダを使用しているギターの輸出入には審査が必要で時間もかかる。とても硬質な芯の強いサウンドで、カキーンといった感じの遠鳴りが特徴的。ローズウッド系の中では明るい印象の音色。木目も独特なものが多く、スっと真っすぐなものやグルグルとエキゾチックな雰囲気をもつものなど、どういう風に板をカットするかで大分印象が変わる。とても希少な材なので現在では一部の高級ギターにのみ使われる。

・マダガスカルローズウッド
ハカランダにサウンド特性が最も近いとされ、高級ギターに使用される木材。ハカランダ同様硬質な芯の強いサウンドが特徴で、遠鳴り感も非常に近い。戦前の仕様を再現したMartinの高級モデルや、カスタムオーダー品で使用されることが多く、その独特な木目も魅力の一つ。同じモデルでも一本一本木目の雰囲気が違うので、所有欲がグっと満たされること間違いなし。

・コア
ウクレレで良く使用される木材だが、ギターのサイド・バック材としても人気の高い材。一音一音の粒立ちが良く、中高域がキラキラした感じになる印象。音量はそこまで大きくはないが、明るいカラっとしたサウンドが魅力的。クリアーを乗せた時の色合いが綺麗で、高級な材になると「トラ杢」というしましまな木目が特徴的。

・メイプル
ジャズギターやヴァイオリンなど、アーチトップのサイド・バック材としてもよく使われる。フラットトップのサイド・バックに使用した場合、硬質なサウンドでジャキっとしたパーカッシブな音色が出力される。サスティンは少なく音も短めだが、実音がとても聞き取りやすい印象。こなれてくると出てくる「色気ある甘さ」も魅力。高級なものには「トラ杢」や「バーズアイ」といった木目が出るが、アコギではトラ杢を使用することが多い。



・ローズウッド
エボニーと並んで指板&ブリッジによく使われる木材。Martinの18シリーズやGibsonのギターなど、サイド・バックにマホガニーを使用しているギターに採用される傾向がある。エボニー指板&ブリッジと比較するとサスティンは少なめで軟らかい印象の音色。乾燥によるフレットのバリやヒビ割れといったトラブルは少ない。何十年も使ったものは徐々にすり減ってへこんでたりする。

・エボニー
硬めの木材であるローズウッドと比較しても更に硬い木材。ローズウッドをサイド・バックに使っているギターに使用されることが多い。サスティン豊かで輪郭のハッキリしたサウンドが出力される印象。すごく硬いので何十年も使ってもすり減りはほとんど見られないが、その分乾燥によるフレットのバリやヒビ割れはローズウッドより出やすい。これはもう材の特性なので仕方がない。修理可能なのでもしヒビ割れが出たらご相談を。オレンジオイルをちゃんと塗ろう。