The most important thing is always the wood,
and how the body and neck match up
and resonate together as a team.

一番大切にしていることは常に木材です。
ボディーとネックの材のマッチング、共鳴です。

フェンダーに入社するまでの経歴と、フェンダー時代の業務内容、その後の独立の経緯

私は元マーティンのディック・ボークのホームショップで1976年から学び始めました。彼からアコースティックギター製作の基礎とエレキギター製作を学びました。
その後1980年にカンザスシティーに引っ越すまで地元の楽器店でギターリペアの仕事をしていました。カンザスシティーではヴィンテージディーラーのジム・コルクラジャと一緒に小さなヴィンテージショップ/リペアショップを始めました。そこでヴィンテージギター&アンプの販売、ギター製作、ヴィンテージギターのレストアとリペアをしていました。

1985年から1989年の間、ニューヨークのロジャー・サドウスキーのもとで働きました。ニューヨークのトップクラスのスタジオミュージシャンや世界的なアーティストの仕事をたくさんしました。これが非常にいい経験となりました。

1989年にジョン・ペイジが私をフェンダー社に招き入れました。
フェンダーカスタムショップがスタートしてからあまり時間が経っておらず、スタッフも少数でした。私は初期のマスタービルダーとして雇われ、主にフェンダーカスタムショップのワンオフメイドのギターの製作に携わりました。アーティスト用のギター製作、限定モデルのデザインなどもしました。

2002年にフェンダーを離れてからは、もともと好きだった1969年以前のヴィンテージのレストアの仕事に戻りました。他のビルダーに依頼されてレリック塗装の仕事もしました。
そのような中でオフメイドのギターの製作依頼が来るようになりました。オフメイドのギターを製作するのは非常に難しいことを知っておりましたし、木材やパーツを必要以上に仕入れなければなりません。少量ですが生産体制を整える必要がありました。

そこで、レストアや他のビルダーからの仕事を止めて、自分のギター製作に専念することにしました。レオ・フェンダーのアイデアを受け継ぎながらもモダンな解釈を加えたギターです。伝統とモダンを融合させたギターです。

楽器を製作するうえで最も大切にしていることやこだわり

一番大切にしていることは常に木材です。ボディーとネックの材のマッチング、共鳴です。

細部に気を付けること。事前のプランニング。自身と楽器との結びつきに時間をかけること。演奏してみて、ともに生活してみて最高だと感じるまで出荷しないこと。

つまり、楽器に「時間をかける」ことが非常に重要です。時間をかけるとその楽器の持つ音がはっきりとしてきます。

ジャズベーススタイルの製作にこだわる理由

サドウスキーでもフェンダーカスタムショップでも、プレーヤー・お客様からのリクエストはほとんどがジャズベースモデルでした。私はプレシジョンベースタイプも好きですが、ジャズベースの製作の方にやりがいを感じますしニュアンスも好きです。

日本製ラインナップへの感想

日本製のモデルは、日本のトップクラスのメーカーによって私が用意した仕様通りに製作されています。
木材選定、重量、サウンド、細部にこだわって製作されております。

USA製には無い5弦ジャズベースモデルについて
5弦ジャズベースモデルは、1960年代初期のジャズベースサウンドをもとにローBというオプションを追加したものです。ジェフ・カラハンが製作した5弦用ビンテージスタイルのオリジナルピックアップを搭載しています。
※ J.W.Black Guitars にハンドワウンドピックアップを製作している。

モデルごとのフェンダーとの差異

J.W.Black Guitars では製作期間も方法も制約がありませんのでフェンダー社在籍時よりも自由です。
J.W.Black Guitars では塗装も私が行っています。フェンダーでは塗装担当が別にいました。今はパーツなども好きなものを使用できます。

一番の違いは時間です。今は時間を掛けることができます。

ネックと指板は木材を1年寝かせてからシェイピング加工を始めます。大まかなシェイピングをしてからさらに1年寝かせます。その後にフレットを打ち、最終的なシェイピングをします。

J.W.Black Guitars のボディーはアルダーかアッシュです。メイプルトップのものもあります。
重量はできるだけバラつきが出ないようにしています。ボディー材は基本的に1ピースか2ピースです。
ボディー材は CNC マシーンで加工した後、1年寝かせます。その後、軽く叩いて材の鳴りを確認してからネックとマッチングさせて、塗装します。

塗装のアンダーコートを施してから長く寝かせます。そうすることによって塗装を薄くできますし、塗装痩せも抑えることができます。
カラーとトップコートを施した後も長く寝かせます。塗装を薄くできますし、サウンドもエージングされたようになります。
アンダーコートからトップコートを寝かせるところまで、8~20週かかります。この作業期間は季節や外気の温度によって変化します。