Elrick Bass Guitars はアメリカ・イリノイ州シカゴに工房を構えるハンドメイドベースブランドです。ルシアーのロバート・エルリックが1992年にプロトタイプの楽器を製作したことが嚆矢となり、翌年の Summer NAMM で正式にデビューしました。 バークリー音楽大学出身という異色の経歴を持ち、自身もベースプレイヤーであるロバート・エルリックは、エレクトリックベースというジャンルのエッセンスを凝縮した楽器を製作する作家として世界中から高い評価を得ており、一方で、プレイヤーを型に嵌めてしまうような窮屈さはなく、ブレイクスルーを求める者達の様々なニーズに応えることのできる高い技術と柔軟さ、その理念から、広く人口に膾炙する存在となりました。

エルリックのウェブサイトやソーシャルメディア、彼の過去のコメントには、「Hand-Made」、「Hand-Crafted」、「Hand-Carved」といった言葉が頻繁に顔を出します。高度な木工技術や独自の木材調達ルートもさることながら、「全ての仕事に100%全力でありたい」と語り、製作作業のみならず、梱包・発送の出荷管理まで全ての工程を自ら行うというスタンスを一貫して守り続けており、名ばかりではない「ハンドメイド」というものに対する頑なにも見える信念は、エルリックというブランドの最大のアイデンティティと言うことができるでしょう。

ロバート・エルリックと直接会ったことのある人達は口を揃えて、真面目で実直、物静かで穏やか、とその人柄を評します。そして、その優しく熱い心意気は、彼の作る楽器にも顕れているようです。エキゾチックウッドを多用した強烈なルックスの作品が多くを占める中、そのサウンドや佇まいにはどこかしらか温かみのようなものが感じられます。手作りのものは、その作り手の人となりや哲学を知ることでより輝きを増す、ということなのでしょうか。もちろん楽器は表現のための道具ですから好みはあるでしょう。しかし、本当の意味での「ハンドメイド」とはこういうことなのだということを教えてくれる、「いいヤツが作る、いいベース」という選択肢があってもいいような気がします。これまでも、ハマる人は思いっきりハマる、そういうブランドのひとつでした。貴方もそのひとりかもしれません。ようこそ、エルリックの世界へ。