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Bizen×名古屋店5周年記念モデル編2

5周年記念限定生産モデル考案

悩める仕様決め。そこで降りて来たアイデアとは!?

一通り新シリーズ「BURNED」を弾かせて頂き、その魅力にのめり込んでいるといつのまにかお昼の時間!いい楽器に触れていると時間がたつのを忘れてしまいます。

名残惜しさを感じつつ工房近くのステーキハウスへ場所を移し、ようやく記念モデルの考案、打ち合わせへ入ります。 まず初めに当店のBizen担当の私の中で既に決定している内容を坂本氏に伝えます。
bizen開発秘話1
その内容は前途の通り5周年にちなんで5本限定生産である事、そしてBizen Worksの最大の特徴とも言える自慢のウッドマテリアルで「ローズウッドネック」を採用するという2点でした。

しかし、他の要素は未確定・・・。

5本の記念モデルは華やかに5色展開するのか?ボディ材を5本全て変えたパターンで行くのか?
5本ともローズネックにする事は私の中では確定しているものの、5本それぞれどこをどう変えていくか未だ決定していない状況。

「あとは坂本キャプテンのアイデアに頼っていこう!」「打たせていこう!」
そんな8番ライト的な考えの中、坂本氏が目からうろこの発言。

「5本生産で全て同じスペック、同じカラーでいきますか?」
確かーに!

案外、無理に全部別のカラーリングにする必要性はないのかもしれない。
拘るべきはあくまで「いい楽器」である事だけ。
さすが、キャプテンである。

少しだけ気になるとすれば、今回のモデルは特別なモデルにしたいのに5本とも同じ顔が並んだら「たった1本だけの特別感、満足感」が感じられないのではないかという点。
それについての製作家目線での客観的な意見も聞きたく、「逆にどう思います?」
とまさかの質問返しをするも、しばし沈黙・・・

その時同行していた、店長の岡崎、「1本フラッグシップを作って、残り4本は手の届きやすいけどフラッグシップに肉薄するモデルはどう?」との助言。
bizen開発秘話2
さすがは店長である!店長…いやっ、監督っ!自分3塁コーチ行ってきます!!
それであれば記念モデルらしさもあるしバリエーションに困ることもない!いただきます!
あたかも自分も同じ事を考えていたかのように即答で同意。
坂本氏の賛同も得られ、大枠が決まっていきます。

限定生産フラッグシップのネック材

ネック材にハカランダ(ブラジリアンローズウッド)使えないものか?

大枠が見えてきたのでまずは1本限定、拘り切ったスペックのフラッグシップモデルの詳細を確定していきます。

ところでその前に今回の一番のコンセプトは「ローズウッドネック」の採用ですが、何故そこにこだわったのか、理由も説明しておきましょう。
近年ではローズウッドネックで生産されるギターは少なくなっており、有名なところではPaul Reed SmithのModern Eagleシリーズ等が挙げられ、未だに根強い人気を誇るスペックとなっています。

5周年限定モデルともなれば人気や実力はもちろんの事、希少性も兼ね備えた仕様にしたい!という思いもあり、ネックはローズウッド材を採用することにしました。
一言に「ローズウッド」と言っても多くの種類があります。

中でも最上位!楽器に使用するために新たに伐採する事が禁止されているのが「ブラジリアン・ローズウッド(通称ハカランダ)」

そして現在では数多くのブランドが一般的なローズウッド材として採用している「インディアン・ローズウッド」

ブラジリアン・ローズウッドに近い見た目や硬さを持ちニューハカランダとも呼ばれる「ホンジュラス・ローズウッド」や「マダガスカル・ローズウッド」等、数多くの種類があります。
そんな中、特別な5本のうちの1本、さらに特別なフラッグシップモデルには同じローズウッドネックの中でもより最高級な材を使用したい!という結論に至ります。

となれば必然的にフラッグシップのネックには「ブラジリアン・ローズウッド(ハカランダ)」が使いたい!
となりますよね。
それはそうなんですが、ハカランダは新規での伐採が禁止される程の超希少材。
指板に使う薄い板でさえストックの無いメーカーが多く、むしろ無い事の方が一般的ですらあります。

そんな希少な材を今回は惜しげもなく使用、「ネック丸ごとハカランダ」でやりたい!
なんてアイデア、やってみたいけど無謀すぎて…普通ならば実現不可能です。
しかし、木材ストックの豊富さに関してどんなメーカーにも負けないのがBizen Works!
なんとハカランダ材を複数の中から選定し使用出来るという非常に贅沢で、夢のような展開となりました。
となれば限定生産モデルのネック材は迷わず「ハカランダ・ネック」に決定!
ネック材の選定は非常に難しく、製材した後に思わぬふしが現れることもあるそうで、ここは坂本さんの製作家としてのプロの目を信じることに!

最も真っすぐに杢目の走るハカランダ材を選定していただきました。(へいピッチャー!来るとわかっていれば160kmだろうがハカランダだろうがキャプテンに真っすぐは通用しないぜ!)
おのずと指板材にもハカランダ材を指定、次はボディの話題へ。

限定生産フラッグシップのボディ材

ボディはキューバンマホガニー?それとも?音もルックスも妥協したくない

Bizen Grainのボディ形状は大きく2種類に分ける事が出来、それはレスポールスペシャル等に近い印象のフラットトップと、レスポールスタンダード等に近い印象のアーチトップの2種類となります。
サウンドとしてはどちらも捨てがたい極上のトーンを出力しますが、フラットトップと比べアーチトップはトップ材の厚みがあり、シンプルにアーチにする加工代がプラスされる為少々高額となります。
前途の通りサウンドはフラットトップもアーチトップも最高のBizen Grain。
しかし今回は1本のみ限定生産のフラッグシップモデル・・・ここは担当者の独断と偏見でアーチトップでの製作する事に決めました。
徐々に大枠が決まっていく中で、あとはエレキギターの軸とも言えるボディ材の選択へ入ります。
Bizen Grainは前途の通りレスポールをベースとしたセットネックギター。
しかしながらその豊富な木材ストックによりオリジナルのレスポールでは不可能なウッドマテリアルを実現できることも大きな魅力と言えます。

まずはボディバック材。

これはフラッグシップ機を製作するという構想の時点で担当者の頭に浮かんでいた木材「キューバン・マホガニー」をチョイスしました。
キューバンマホガニー
一般的なセットネックギターのボディバック材として採用される事の多いマホガニー。
指板材のローズウッドと同じようにマホガニーにも産地等で数多くの種類が存在します。
そんな中でも今回チョイスした「キューバン・マホガニー」は所謂“本物のマホガニー”とされる幻の木材で、赤い宝石とも呼ばれています。
世界三大銘木の一つとなっており、アコースティックギターのLowdenやヴィンテージのMartin等に使用される極上の木材となっています。
エレキギターのボディ材として使用される事は非常に稀で、この「キューバン・マホガニー」の選択肢がある事自体は驚きと言えます。
現在使用されるキューバン以外の数多くのマホガニー材は比較的柔らかい印象があり、それがサウンドにも表れます。

しかし!この「キューバン・マホガニー」に関しては硬質なタップトーンが印象的で、通常私達が想像するマホガニーボディのエレキギターのサウンドを超越することでしょう!

フラッグシップ機にこれ以上ない選択である!という自信の下、最高のボディ材「キューバン・マホガニー」を選定致しました。

限定生産フラッグシップのトップ材

トップ材にハカランダ(ブラジリアンローズウッド)を使ってはどうだろう!?

ここまで決まってくるとウッドマテリアルとしては最後、エレキギターの顔とも言えるボディトップ材の選択に入ります。

そのギターの印象を決定づける意味で非常に大切なボディトップ材。ここは最も悩みぬき、結論を出しきれなかった部分ですが、こうして直接工房に訪問し対話する中で何かが生まれるはず。
もともとがレスポール好きな担当者としてはハードロック・メイプルトップ、マホガニーバックのBizen Grainを初めて弾いた際の感動、衝撃が大きく、「サウンドで選ぶのであればトップ材はハードロック・メイプルだ」と内心では決めておりました。
しかしルックスに関してはトラディショナルな印象を脱却していない、カラーリングを駆使しても比較的落ち着いた、レギュラー品との違いを見出しにくいものに着地する事が予想されます。
それが本来のBizen Grainの魅力の一つではあるものの、今回は5周年を彩る限定生産モデル。
ルックスも限定モデルにふさわしい極限のモデルでなくてはダメなんだ!

誰が見てもフラッグシップにふさわしいモデル!
「音もルックスも兼ね備えた最高の限定モデル」になるには何かもう一つ欲しい!

何か足りない。何が足りない?
最高の音にするためにキューバン・マホガニーを選んだ。それで材の選択は間違いはないはず!
そう、ハードロック・メイプルトップにキューバン・マホガニーの組み合わせで間違いはないはずだ!
あとはインパクト抜群のルックスに仕上げる事が出来たら完璧なのだが・・・と数多くの候補の木材を前に考えあぐねていました。
同じメイプルで比較的派手さのあるバール・メイプルではどうか?
信じられない程美しい杢目が出たカーリー・メイプルは?
最近入ったという一押しのキルト・メイプルもいい、どうしても音もルックスも妥協したくないという気持ちが強いあまり結論が出ません。

「店長、どう思います?」
意見を求め振り返ると、よっぽど材が好きなのか、ずらりと並ぶ材を端から順番にタッピングしては満足げににやけています。

こちら話を聞いているのかいないのか。
諦めた矢先、ぼそっと一言。

「・・・オールハカランダこそ史上最強」
は?こっちに言ってる?ハカランダ最強?そうだけども。馬鹿いってんじゃないよ!
確かにルックス面やインパクト、材料の価値から考えてもオールハカランダ以上の材は存在しない。
しかしアーチトップボディを丸ごとハカランダにするなど、もし仮にハカランダのボディ材があったとして、いったい金額はいくらになることか!

もっと言えばとんでもなく重たいボディになりそうだし、何より音を考慮すればハードロック・メイプルトップ&キューバン・マホガニーの音がベストだ!惚れ込んだ音は譲りたくない...。
いつもの軽口だと判断し、店長の発言は一旦シカトしよう、それがいい、と思った矢先、 私と店長の両方の意見を取り持つかの如く、坂本氏からご提案が。
「ハードロック・メイプルトップにハカランダの突板を貼りましょうか?」

何~!そんな手があったかっ!それだっ!さかもと君っ!ぜひ中日ドラゴンズに来てくれ!
坂本氏、心の中ではプロ入り内定!

「ハードロック・メイプルトップ」に「キューバン・マホガニーバック」の最高のサウンド
     +
「ハカランダトップ」の圧倒的なルックス・・・
両方を兼ね備えた、私の求めていた答えに辿り着きました。
これにてネック、指板、ボディトップ、ヘッドの突板に至るまで全てをハカランダに統一!

杢目の美しさがどの角度からでも楽しめるルックスにしながらも、ボディバックには幻のキューバン・マホガニーを使用し最高の音も実現するという“1本限定生産のフラッグシップ機”の名に恥じない、まさに究極の極上スペックのギターが決定致しました。
Bizen Worksファンの方はもちろん、一生付き合っていけるセットネックギターをお探しの方には是非とも手に取って頂きたい一本です。
サウンド、ルックス共にBizen Works並びにBizen Grainの素晴らしさを体感して頂ける事でしょう。

5周年記念スペシャルハカランダ・モデル

5th Anniv. Special Grain Arched

5th Anniv. Special Grain Arched
Body Top 2P Hard Rock Maple with Brazilian Rosewood (Jacaranda)
Body Back 1P Cuban Mahogany (Chambered)
Neck Brazilian Rosewood (Jacaranda)
Fingerboard Brazilian Rosewood (Jacaranda)
Pickups Bizen Original(Vintage Set)
Bizen Worksのフラッグシップモデルである「Grain Arched」を記念モデルらしくプレミアムな木材を用いて一本限定にて製作。 キューバン・マホガニーバックにブラジリアン・ローズウッドのルックスを手に入れたハードロック・メイプルトップのボディ。 ネックと指板も贅沢にブラジリアン・ローズウッドを使用・・・指板インレイにはツリー・オブ・ライフを採用。 サウンドもルックスも一切妥協しない”究極のBizen Grain Arched”が完成致しました!!
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