例えば、ネックの成形ひとつとってもその拘りは濃縮されており、現代では「おおざっぱに削る」工程はCNCルーターに任せることが一般的ですが、ここもあえての「1から手削り」。

この拘りは何もネックだけに限らず、ブレイシングなど、各所の微調整やフレットの打ち込み、とにかく細部に渡るまで「現代に再現しうる最大限の手作業」で組み上げられております。

当時の資料を参考にジグ(専用の工具)も作成するなど、無駄と言えなくも無い部分にまでその拘りは行き渡っております。

要するに、一流の車メーカーが「今さら町工場だった時代と同じ製法」で作ってくれたような感じです。
これはスゴイ。

「ニカワ(膠)」とは、動物の骨とか皮を煮込んで抽出されるドロドロの液を固めたもの。それに水を加えつつ湯煎で溶かして接着剤として使用します。その歴史は古く、数百年前から木工や伝統工芸などで使われているとか。
溶かし具合とか、そもそも骨系のニカワなのか皮系のニカワなのかとかで接着力が代わる為、部位によって適切な力で接着できる。代わりに経験が求められる為、「全ての部位」をニカワ接着で行なっているギターは現代では多くありません。
また、剥がす時に上手にやれば木材へのダメージが少ないこともポイントで、「修理してでも長く使いたい」楽器ほどニカワ接着の恩恵を受けることでしょう。

一例として、ネック付け根の画像を拡大してご覧下さい。どうでしょうこの密度と質感!!楽器好きだけでなく、木材好きも興奮を禁じえないほどの素晴らしさではないでしょうか。
さすが膨大な木材ストックを持つMartinの中でも厳選に厳選を重ねた材のみで組み上げられるオーセンティック。 手触りも最高です。

表板とトップブレイスはVTS加工。

VTS加工とは、高音、高圧に調整された釜で木材を熟成。まるで何十年も経過した 木材かのような細胞の状態を再現したシステム。 新品でありながら、使い込んだ楽器のように甘く雑みの少ない音色をお楽しみ頂けます。 サンプル板を叩くと明らかに「カンッ」とよく響きます。

塗装はハンドポリッシュのラッカー。

近年発見された文献で、戦前のMartinギターの40番台以外の塗装は「半ツヤのハンドポリッシュ」だということが解りました。 それにあわせ、オーセンティックもなんと「半ツヤ、手磨き塗装」を採用しています。 木材の質感が強調され、アンティーク感ある良い雰囲気です。

ブレイスの仕上がり、組み方も当時を再現。

画像はバックブレイス。現在では採用していない「かまぼこ型の第3・第4ブレイス」です。 トップブレイスの組み方や切り込みを入れる位置などもオーセンティックにのみ採用される特別なものです。 ブレイス自体の仕上げもより丁寧になっており、音の伝達はバツグン。

ブリッジに弦溝を採用。ピンはまん丸。

現在は「ブリッジピンホールがまん丸」で「ブリッジピンに溝有り」がスタンダードですが、オーセンティックは当時と同じように逆。 よりダイレクトなテンション感をお楽しみ頂けます。

ピックガードはなんと塗りこみ。

現在は、塗装の上に貼り付けることが主流のピックガードですが、オーセンティックはあえての「塗り込みピックガード」。 機能的には塗装の上にいるほうが良いことは間違いないのですが、そんなことよりなにより「格好良い」という大きな魅力を持っています。

指板の仕上げと塗装の切れ目まで再現。

当時と同じように、指板の塗装が「ジョイント部分まで」になっています。 指板エンドの仕上げも現在よりも多めに面取りされています。 マニアックな内容ですが、知った上でギターを抱えるとちょっとニヤリとしちゃう ポイントです。

フレット端の仕上がりが違う。

現在のスタンダードMartinと比較すると、「より丸く」「より面を取った」端の仕上がりになっています。 逆に日本でリフレットした後とかはこんな感じに仕上がる傾向にありますが、この規模のメーカーとは思えない仕上げ方です。うぅむトラディショナル。

ネックブロックの刻印の字体も当時風。

実際の戦前Martinを見る機会はそう多くはないと思いますが、当時のモデル名、シリアルナンバーの刻印はこんな感じの字体だったのです。 もちろん音には関係ありませんがニヤリとしてしまうシリーズのひとつです。

当時の値札まで再現。

この黄色い札。当時の新品出荷時の値札を再現したものだそうです。 さすがに当時の現物と比較することは叶わぬ願いっぽいですが、ここまでやってくれるMartinの心意気に脱帽です。