6月14日クロサワ楽器店G-Club Shibuyaアコースティックフロアにて村松拓(Nothing's Carved In Stone/ ABSTRACT MASH)による【Plemium Guitar Clinic】が開催された。
自身がギターから感じること、何を求めて今のギターを手にしているのかを伝えるクリニック形式。ミニライブの中に来場者からの質問や疑問に村松拓氏が回答していくコーナーが設けられており、ファンにとっては日頃の疑問が直接投げかけられるまたとない機会となった。村松さん自身も初となるクリニックという形のイベントであったが終始和やかな雰囲気でイベントは進んだ。
ステージに上がるとまず手に取ったのは本人所有のMartin GP-18E。ここの所の弾き語りで愛用している一本。GP-18Eを抱えギターの感触と響きを空間に馴染ませるように爪弾く村松拓氏。
1曲目は、『Aspili』。
GP-18Eを使用して演奏されたこの曲は、緩やかな曲調ながら確実にその空間にいる人の心を掴む歌声と演奏に包まれ、
それまで漂っていた少しの緊張感は一気に吹き飛んだ。
※Martin GP-18E
くびれが強くしっかりとした厚みがあるボディによりふくよかな低音と抜けの良い高音が同居したモデルでトップはスプルース材、サイドバックはマホガニー材のエレアコ。
その後クロサワ楽器店G-Club Shibuyaの在庫品の中から今日選んだお気に入りの2本(D-18 Authentic Aged、D-18 1975年製Vintage)を村松さんの解説付きで紹介。D-18 1975年製Vintageは特にお気に入りとのこと。
もう1本の本人所有ギター 00-16DBMも、GP-18Eもマホガニーという材を使用したモデルの為、やはりマホガニー材の立ち上がりよく歯切れの良い響きが氏の好みのようだ。
『華やぐ街に向かう君』や『Isolation』のイントロを弾き、各モデルの個体の響きの違いを説明をしてくれた。
両曲両フレーズ共に聞き惚れてしまう程カッコ良いのだが、特に『Isolation』のアコースティックバージョンは最高であった。
質問コーナーではご来場のお客様から多くの質問が投げかけられた。
どの質問にも丁寧に回答をし、最後に氏自ら「ありがとう」と質問者へ声をかける優しさが実に印象的だった。
高額モデルのD-18 Authentic Agedの音の素晴らしさと魅力を伝える対比として、00-16DBMを手に取り『Isolation』のフレーズで弾き比べたのだが意外にも両モデルすごく良い音がするという事に気づいた拓さん。
自身が初めて手にしたMartinギター『00-16DBM』の魅力を再確認する様子も垣間見れて興味深かった。
そんな長年の相棒Martin 00-16DBMを使用して、2曲目『シナプスの砂浜』を披露。
拓さんの深みある声に長年連れ添った00-16DBMの響きはやはりしっくりくる。
声とギターが馴染んだアンサンブルにより曲の持つ世界に一気に惹きこまれた。
※00-16DBM(村松拓氏所有品)
その昔音楽仲間の先輩に是非弾いてほしいと譲り受けた一本。小ぶりだがボディに厚みがあり、ふくよかな中音とキレのある高音が同居するモデル。ファンの方は村松拓さんのアコースティックギターと言えばこのモデルを思い出す方も多いはずだ。現在では生産終了している貴重な一本。拓さんの中の「アコースティックギターサウンド」を決定づけてくれた個体でもあり、曲のインスピレーションを与えてくれる一本として紹介された。
続いてD-18 Authentic Agedを使用して、3曲目『Isolation』を披露。
激しく太いロックな歌声に呼応するように、D-18 Authentic Agedのラウドで抜けの良い響きが感情を乗せて聞き手に届く。
筆者も先ほどの弾き比べフレーズを聞いていたので待ってました!と声を上げたくなる圧巻の一曲となった。
※D-18 Authentic Aged(G-Club渋谷在庫品)
このモデルは新品でありながらビンテージの仕様を持ったAuthenticシリーズにさらに弾き込んだ風合いをあえて再現し、外観、サウンド共にビンテージを感じられるモデル。音の立ちあがりの速さ、高音の抜けの良さが特徴で新品とは思えない底から押し上げるような中高音が魅力的。激しく弾く演奏にもぴったりの一本だ。
名残惜しくも最後となった曲は『朱い群青』。
ノスタルジックで哀愁ある、そして感動的な歌を1975年製D-18が支える。
当店の在庫品の中で一番気に入って頂いた一本がイベントの最後を感動的に飾った。
※D-18 1975年製(G-Club渋谷在庫品)
こちらは本物のビンテージ。1975年製の個体。当時のMartin GuitarはSQネックと言われるスティールバー埋め込み式のスクエアロッドがネックに入った構造をしており現行品と比べても音のパワーと歯切れの良さ、音の立ち上がりがよく、拓さんお墨付きの一本。
イベント終了後には当店にあるMartinギターを全員で持ち、クロサワ楽器店G-Club渋谷スタッフと記念撮影もして頂きスタッフとしても特別な一日となった。
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